好きな短歌トラックバック
「独断と偏見で」という前置きはまるで何かのまじないみたい(伊勢悟史)

改)「独断と偏見で」という前置きで許されようとしている何か(伊勢悟史)

……と、いうわけで、独断と偏見で「ああ、すごく好きだ」と思った短歌を挙げてしまおうかと。
辻さんに引き続き。



まず、1首目。

■下駄箱にあの子の名前がもうなくて ひとり足りない野球をしてる(出石正比古)

ノスタルジックで、なんだかせつない感じがとても好きです。
以前、出石さんのブログに「これまでの投稿作品すべての中で、一番好きな短歌です。」と書き込ませていただいたのですが、以降も僕の中では一番をキープしています。

そして2首目。

■もういない妻とのチャンネル争いを思い出さずに観る巨人戦(佐々木あらら)

この短歌もドラマのワンシーンのようで、とても好きです。
ボォッとテレビだけが青白く光っている暗い部屋の中で、缶ビールなんかを飲みながら巨人戦を眺めている……という画が浮かんできます。

3首目は、多分投稿されていないと思いますが、この短歌。

■あのころはフダツキーって呼んでいた友達が今おんなのこです(木村比呂)

木村さんの短歌の中では、ちょっと異色かもしれません。
この短歌もストーリーがあって好きだなぁ。
「フダツキー」というあだ名がすごくよいです。
木村さんの短歌は、リズムに中毒性があって、頭に居座る感じです。
一時期、僕の頭の中ではずっと「ふるりみてみて波紋波紋」と「アイシンクそうだそうだとうなずいて」のフレーズがグルグルグルグル回っていました。

3首の短歌に共通するのは、「ストーリーがある」ということのような気がします。
しかも31文字によって、説明されているストーリーではなく、否応なく浮かび上がってくるストーリーがある。
これがいわゆる「あらすじ短歌」と「そうでない短歌」との違いなのだと、思い知らされます。

しかし……ものすごく偏っていますね。不思議と男性の短歌ばかりだし。

ちなみに枡野さんの短歌の中で一番好きなのは、この短歌。(『ますの。』より)

■「このネコをさがして」という貼り紙がノッポの俺の腰の高さに(枡野浩一)

何度読んでも、泣けてしまいそうになります。

他の方の「好きな短歌」も、聞いてみたいです。
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by satoshi_ise | 2004-11-30 20:05 | その他 | Comments(4)
Commented at 2004-12-02 22:27
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by satoshi_ise at 2004-12-02 23:49
カギさん
いろいろナルホドです。
Commented by tundok at 2004-12-03 15:42
あらすじでなく、ストーリー。
なるほど伊勢さんらしい選択だなあと納得です。

「ふるりみてみて波紋波紋」は僕もびっくりでした。
な、なんだ、このリズム感は・・・と目が釘付けになりますよね。
Commented by satoshi_ise at 2004-12-03 23:47
辻さん
我ながら偏った好みにびっくりです。
木村さんのリズムは、なんというか残るんですよね……。
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