ハチ公の気持ちを思う 戻らない猫の帰りを待つ玄関で(仁尾智)
玄関の開く音がすると、鳴きながらどこからともなく現れるのが外猫の「うみ」だ。 「ガチャ」 「……ニャウニャウー」 ここ一週間、うみが姿を見せない。 これまでもときどき姿を見せなくなることがあったので、もしかすると別の家でえさをもらっているのかもしれない。それならばそれでいいのだけれど、「どこかで怪我をしているのでは」とか「閉じ込められてしまったのでは」とか悪いことばかり考えてしまう。 「ガチャ」 「……」 用もないのに玄関を開けては辺りを見回して、耳を澄ましている。 「ガチャ」 「……」 「ガチャ」 「……」 「ガチャ」 「……」 「ガチャ」 「……」 「……ニャウニャウー」 きょうの昼、うみが一週間ぶりに戻ってきた。
by satoshi_ise
| 2007-09-25 21:30
| 短歌
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