戻らない猫
ハチ公の気持ちを思う 戻らない猫の帰りを待つ玄関で(仁尾智)



 玄関の開く音がすると、鳴きながらどこからともなく現れるのが外猫の「うみ」だ。

「ガチャ」
「……ニャウニャウー」

 ここ一週間、うみが姿を見せない。
 これまでもときどき姿を見せなくなることがあったので、もしかすると別の家でえさをもらっているのかもしれない。それならばそれでいいのだけれど、「どこかで怪我をしているのでは」とか「閉じ込められてしまったのでは」とか悪いことばかり考えてしまう。

「ガチャ」
「……」

 用もないのに玄関を開けては辺りを見回して、耳を澄ましている。

「ガチャ」
「……」

「ガチャ」
「……」

「ガチャ」
「……」


「ガチャ」
「……」
「……ニャウニャウー」

 きょうの昼、うみが一週間ぶりに戻ってきた。
[PR]
by satoshi_ise | 2007-09-25 21:30 | 短歌 | Comments(2)
Commented by あきこ at 2007-09-29 12:21 x
あー…よかったですねぇ!
新聞などで尋ね猫のコーナーを見ると
いつも胸が痛くなります。
Commented by satoshi_ise at 2007-09-29 23:17
あきこさん
よかった……。
……と同時に、ハチ公の切なさが身にしみます。
うみには、別宅があるのかなぁ……。
<< 短歌 『猫びより』7月号に載っています >>