2013年7月(07-001)
庭の草むしりを終えた  「根絶やし」はドラクエⅣで覚えた言葉(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-07-14 17:51 | 短歌 | Comments(0)
2013年6月(06-002)
僕以外妻しかいないこの家に僕の知らないルールが多い(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-06-28 12:00 | 短歌 | Comments(0)
連作 傘はもう進化をやめた(全七首)
本当はいない海洋生物の名を考えて終わった きょうも

笑っちゃうほど笑えない日もあってバカも休み休みしか言えない

入ってた袋のほうでじゃれる猫 僕の選んだおもちゃをよそに

猫の毛を気にせず黒い服を着てソファーに座れる日なんて来るな

ケンタッキーフライドチキンを食べているときだけ猫が愛してくれる

おたがいに猫優先のこの家に子はないけれどかすがいだらけ

右肩は傘をさしても濡れていく 自分の場所がよくわからない


―『NHK短歌』(5月号)「ジセダイタンカ」より―
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# by satoshi_ise | 2013-06-22 07:01 | 短歌 | Comments(0)
父のこと
父の日なので、父のことを書きました。


「父のこと」

父が脳梗塞で倒れたのは、ちょうど二年前のことだ。

実は、当時のことはあまりうまく思い出せない。母から連絡があったのか、実家の近くに住む姉だったか、妹だったか。当日に連絡があったのか、それとも後日だったのか。記憶が不鮮明だ。
いずれにせよ危険な容態だった。妻と搬送先の病院へ駆けつけた。父の意識はなく、枕元にはドラマでしか見たことがない緑の表示の計器のようなものがあった。口には透明のマスクが付けられていた。
何をするべきか、わからなかった。ああいうときは何を話しかけるのが正解なのだろう。促されるまま父の手を握ると、ただ泣けてきた。
父は昭和一桁の生まれでもう高齢だし、僕はもう四十を過ぎた中年だし、こういうことは当然起こることだし、たとえ誰かに万一のことがあっても、泣いたりしないだろう、と思っていたのに。姉や甥のいる前でみっともない、と思いながらも止められなかった。あの頃、すでに心のバランスを崩していたのかもしれない。
じっとりとした面会時間の中で、父は、時折大きなあくびをした。そのあくびがなんだかすごく不穏な兆しに感じられた。不謹慎なのだけれど、あくびのたびに枕元の緑の計器の動きが気になっていた。
やや頑固で理屈っぽくて恰幅のいい父の、まるで場にそぐわないのんきなあくびに、また泣けて仕方なかった。

母から「もしものときはあなたが喪主をやってね」と頼まれたり、医師から延命治療の同意書の記入を求められたり、となかなか息苦しい日々だった。
なんとか山場を越えて、父は一命をとりとめた。当初は歩くことや話すことはおろか、口から物を食べられるようになることも難しいと言われていた。しかし、父は数カ月の入院と退院後のリハビリによって、医師も驚くほどの回復を示した。
右半身は麻痺し、言葉や記憶に障害が残っているものの、食事は左手で器用に食べ、今では車椅子なしで歩いている。トイレも介助なしで行ける。自分の名前や生年月日は答えられないけれど、言葉がまったく出てこないわけではなく、意思の疎通はできる。
なにより父は、倒れる前よりもずっと穏やかで、ほがらかになった。いつも照れたように笑っている。

父が倒れて以降、できるだけ実家へ行くことにしている。僕を息子だと認識しているのかは、はっきりしないけれど、近しい人間だということはわかっているようだ。僕の顔を見ると、ボソリと「よく来たな」とか「お疲れさん」とか言って、あとはニコニコしている。

実家を訪れたある日のこと。リビングルームで、妹と昔の写真や文集を眺めていると、アルバムから一枚のハガキが出てきた。「もうこれ以上は無理」というくらい茶色く古びたそのハガキは、父宛の年賀状だった。差出人は「○○タカ」(○○は父の姓。……つまり僕の姓。伏字にする意味は、あまりない)となっている。僕にも、妹にも「タカ」なる人物が誰なのか、わからなかった。妹が隣に座っていた父に聞く。
「ねえ、このタカさんって誰? お兄さん?」
父は、すぅと真顔になり、毅然と答えた。
「いや、違う。タカさんはお兄さんじゃない」
一瞬、父が倒れる前の父に戻ったのかと思った。そのくらい別の顔だった。
「じゃあ、誰?」
妹が聞くと、父は今の父の顔に戻り、照れたように笑いながら「いや、お兄さんじゃないんだ。タカさんは」と言った。誰なのか、頭では分かっているけれど、言葉が出てこないようだった。
照れ笑いに見える表情は、もどかしさをごまかしているのかも知れない。
ちょうどそこに母がお茶を持ってきた。妹が母に「このタカさんって誰?」と聞く。
「ああ、タカさんはパパのお母さんよ」
父の母親(僕にとっての祖母)は、僕が生まれる前に、すでに亡くなっていて、僕らは名前すら知らなかったのだ。
自分の名前や生年月日はわからなくても、母親の名前は覚えている。母親とは、そういう存在なのだ、と思った。

そして、父のことを書くつもりが、結局母親のことを書いている。
母親とは、そういう存在なのだ、と改めて思う。
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# by satoshi_ise | 2013-06-16 00:00 | 日記 | Comments(2)
2013年6月(06-001)
死にたいと思ったこともない頃のフリースローのあとの口元(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-06-04 03:27 | 短歌 | Comments(0)
2013年4月(04-002)
登ることから降りるのだ 一段も登れなかった階段だけど(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-04-29 20:40 | 短歌 | Comments(0)
『NHK短歌』(5月号)に連作を寄稿しています
4/20発売の『NHK短歌』(5月号)の天野慶さんの「ジセダイタンカ」のページに短歌連作七首と短い文を寄稿しています。
44歳だけど、のうのうとジセダイ。ぜひお読みください!

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# by satoshi_ise | 2013-04-22 18:37 | 告知 | Comments(0)
2013年4月(04-001)
エイプリルフールが終わる 冗談のような知らせにオチのないまま(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-04-09 09:40 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-008)
この街で初めての春 薬局の角のあの木は桜と気づく(仁尾智)

イラストレーターの後藤グミさんのイラストを見て、作った短歌です。
イラスト内に手書き文字で書いてもらえました! とても素敵でうれしい。
http://okujo.exblog.jp/20001922/
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# by satoshi_ise | 2013-03-26 19:00 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-007)
君が歩をゆるめ桜を見たあとで僕に追いつくための小走り(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-23 18:25 | 短歌 | Comments(2)
2013年3月(03-006)
ザリガニのいない水槽 柴犬のいない犬小屋 父母のいる家(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-13 21:19 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-005)
遠吠えやパトカーの音のする夜に僕が一番頑張れてない(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-11 23:39 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-004)
死について何も考えないように定型で書く否定形の詩(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-10 06:18 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-003)
外猫が身体じゅうになんか草の種みたいな春をくっつけてきた(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-08 18:09 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-002)
継ぎ目のない日が高速で回ります 卒業のないほうの世界は(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-06 07:27 | 短歌 | Comments(0)
2013年3月(03-001)
入学をしていないので本年も無事卒業が叶わなかった(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-03-01 22:59 | 短歌 | Comments(0)
2013年2月(02-004)
療養とヒモの違いがわからない男が淹れるゴールドブレンド(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-02-27 10:02 | 短歌 | Comments(0)
猫短歌30首連作「ネコノイル」(改訂版)
猫の日なので、猫の短歌の連作を掲載します。

下記は、以前発表した連作「ネコノイル」を一部改訂して、
猫写真投稿雑誌『ネコまる』の2011年冬号で発表したものです。

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# by satoshi_ise | 2013-02-22 18:30 | 短歌 | Comments(10)
猫短歌5首連作「泣くわけがない」
猫の日なので、猫の短歌の連作を掲載します。

下記は、猫写真投稿雑誌『ネコまる』の2007年夏号で発表したものです。

掲載時にはエッセイに短歌を挟み込む形式でしたが、短歌だけの連作にしてみました。

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# by satoshi_ise | 2013-02-22 16:15 | 短歌 | Comments(0)
2013年2月(02-003)
「To Doを書き出す」というTo Doを書けたら終えるきょうのTo Do(仁尾智)
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# by satoshi_ise | 2013-02-20 22:49 | 短歌 | Comments(0)