花道も流川も安西先生もいない時代のバスケ部のこと
毎日のように殴られ血の味がまるでお口の恋人でした 一列に並んでビンタを待つあいだ校舎に響くフルートの音 左からビンタの音が近づいて 近づいて 気がつくと医務室 今週のビックリドッキリメカ並みにあるべきこととしての体罰 僕じゃない誰かの頬が腫れていく日にホッとする自分が嫌い 水分の補給は禁止 おしぼりを隠れて吸うとおしぼりの味 殴られて鍛えられたりするようなヤワな根性なしじゃなかった 駄菓子屋でチェリオ片手に「痛くない殴られかた」がきょうのアジェンダ 転校はお別れなのに羨望のまなざしで僕をみる同級生 殴られる心配のないバスケットボールはこんな楽しいなんて しつこくて粘着質で地味でM つまりディフェンス向きの性格 水分の補給は必須 僕たちにポカリが教えてくれた常識 キャプテンを決める会議が長引いて帰りたいからする立候補 キャプテンが決まるとすぐに「じゃあ副は僕が」だなんて 吉田の奴め 中指が離れたらすぐ 二秒後の三得点にガッツポーズを 自由とは重圧なのだ フリースローラインでよぎる外した未来 のむ息と止まる時間と落下するボールとゆれるネットの音と バスケでは仏の顔も四度まで ファイブファールでまた蚊帳の外 長い長い余生の途中 高3の夏に敗退してからずっと #
by satoshi_ise
| 2008-06-16 00:30
| 短歌
猫写真投稿雑誌『ネコまる』(日本出版社)の2008年夏号が5月21日に発売されました!
仁尾の短歌とエッセイと写真のページ「猫の短歌 Vol.4」も無事に掲載されています。本屋さんなどでみかけたらぜひ。 #
by satoshi_ise
| 2008-05-23 04:07
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